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悪筆
字が汚い、とよく人に言われる。

いや俺の字が汚いのは厳然たる事実だが、いきなり他人に対して「字が汚い」とのたまう人はさすがに少ないので、正確を期すれば、俺が書いた字を見た人は「なんて汚い字だ。これは親の教育がよくなかったに違いない。字は心を映す鑑、性根もおそろしく曲がっているに違いない。字の乱れは心の乱れ。」などと思っているだろうな、と俺は思っている、というところだろうか。

とにかく俺の字は汚い、のである。
俺のメモをもとに他人が電話すれば、不通電話になり、
俺のメモをもとに自分で電話してみても、違うところにかかり、
昔アルバイトしていて宛名書きの雑用があった時は、そこの社員に「自分でやるのでおまえはやらんでいい」と言われ、
やはり同じくアルバイト先のオバサマには「ウチの息子(小2)とおんなじ字だ〜」と言われたりしたものだ。

一応、自分としても字は汚いのは自覚しているので、汚くてもせめて判読できる字を書いている、つもりなのだが、前述した通り他人が俺の書いたメモを見てかける電話は間違ったところにかかったりすることもままある。
ボタンの押し間違いかな。
それにしては、その後何回かけても同じところに間違い電話がかかっているが。

汚いながらも読める字を、とは思っているものの、たまに走り書きが走り過ぎて他人の誤読を招くのだが、それでも大抵は自分では読める。
ただ、たまにもっと字が走り過ぎて時間が経ってから読み返すと最早自分自身にも判別不可能なこともある。
でも、書いてからそんな時間が経ってなければ大丈夫。
何て書いたか憶えているから。

ん、メモの意味あるか、これ。